INDIA STUDY PLUSインド留学プラス

インドの物価は安い? 高い? — 「同じ品質」で比べた瞬間に逆転します

「インドは物価が安い」— 半分は本当で、半分はもう古い情報です。同じ品質のものを買おうとした瞬間に価格は日本に並び、ときに追い越します。その仕組みを数字で説明します。

最終更新日: 2026-08-13

SUMMARY

この記事の結論

バンガロールで日本人が「これなら安心して住める」と思える住まいは、月 40 万円からです。東京都心の 3LDK が借りられる金額です。スターバックスのラテは日本より 140 円高く、iPhone は 2〜3 割高い。一方、同じ街のローカル食堂のミールスは 120 円です。インドの物価は「安い」のではなく、「安い側」と「日本より高い側」に真っ二つに割れています。そして日本人が普通に暮らそうとすると、後者ばかり選ぶことになります。

メリット

  • ローカルの店・交通・住まいに寄せれば、日本の数分の一で暮らせるのは事実
  • オートリキシャは東京のタクシーの 1/10。人の手が値段になるものは本当に安い
  • 通信費は月数百円。医療費も日本より安く、病院の選択肢が多い
  • 留学生の生活費の平均は 1 日 600〜1,200 ルピー(約 1,000〜2,000 円)
  • 住み慣れるほど生活費は「安い側」へ寄る。現地就職者には手取りの 4〜5 割を貯蓄している例も

デメリット・注意点

  • 日本と同水準の住まいは月 40 万円から。東京都心の 1LDK(約 20 万円)の 2 倍
  • スタバのラテは 595 円で日本より高い。iPhone は 2〜3 割高、輸入酒は基本関税 150%
  • 現地と同じ価格では暮らせない。水・食事・移動・医療で単価が数倍になる
  • 安く快適に暮らすには相場のノウハウと現地の人との信頼が要る。数週間では作れない

結論: 日本と同じ暮らしは、日本より高くつく

「インドって物価が安いんですよね」— 説明会でも面談でも、ほぼ必ず出る言葉です。前置きを飛ばして、いちばん驚かれる数字からお見せします。

バンガロールで日本人が「これなら安心して住める」と思える住まいの家賃は、月 40 万円からです。

同じ 40 万円を東京で出せば、都心の 3LDK(相場 約 38.5 万円)が借りられます。東京都心の 1LDK は約 20.2 万円ですから、インドで日本並みの住環境を買うと、東京のおよそ 2 倍を払うことになります。

もう一つ、並べておきます。バンガロールで働く人の平均手取りは月 13.6 万円です。つまり日本人が「安心」と感じる住まいの家賃は、現地で働く人の月給をまるごと超えています。「インドは物価が安い」という言葉が誰にとっての話なのかは、この 2 つの数字を並べるだけで見えてきます。

もちろん、安い側も実在します。同じ街のローカル食堂のミールスは 120 円。街のカフェのカプチーノは 380 円で、東京の 580 円より確かに安い。想像どおりの「安いインド」です。

つまりインドの物価は、安いのではなく真っ二つに割れています。そして厄介なのは、日本人が普通に暮らそうとすると、高い側ばかりを選ぶことになるという点です。安全な住まいを選び、清潔な店で食べ、配車アプリで移動し、日本と同じ品質のものを買う — その一つひとつが、高い側の選択です。

この記事は、次の順で進みます。まずなぜこれほど多くの日本人が誤解したままなのか— 原因は「時代のずれ」と「SNS のずれ」の 2 つです。そのうえで価格の仕組みを表で確認し、日本と同じ品質がいくらになるのかを見て、最後に安く快適に暮らすには何が必要なのかまで書きます。留学の総額そのものは費用まとめにありますので、こちらは「現地でお金がどう動くか」の話だとお考えください。

この記事の円換算について

円換算はすべて1 ルピー = 1.7 円(2026 年 8 月時点)で計算しています。為替は動くため、円で見た「インドの物価」も動きます。実際、この 5 年でルピーは円に対して上昇しており、現地の値札が同じでも、日本から見た負担は重くなっています

誤解の原因(1) 「インドは安い」は、いつの話なのか

では、なぜこれほど多くの人が「インドは安い」と思っているのか。原因は 2 つあります。1 つ目は、単純に情報が古いことです。数字で見ます。

「インドの物価は日本の 10 分の 1」という感覚は、だいたい 20 年前のインドの姿です。当時と比べて所得は 3 倍以上になり、都市部の家賃と交通費はそれ以上のスピードで上がりました。世界でいちばん速く成長している国が、いつまでも安いままであるはずがない— 言われてみれば当たり前なのですが、イメージの更新はどうしても遅れます。

しかも日本側は、この 20 年でほとんど物価が上がりませんでした。インドが 3 倍以上になる間、日本はほぼ横ばい。差は両側から縮んでいます。「インドは安い」という記憶を持ったまま来ると、ずれの大きさに驚くことになります。

ただし、都合の悪い数字も出します

「インドの物価は上がり続けている」と単純に書くのは、正確ではありません。消費者物価指数(CPI)で見ると、2025 年のインドのインフレは落ち着いていました。年平均で 2% 台、10 月には 0.3% 前後という歴史的な低さまで下がっています。「物価が高騰している国」ではありません。

それでも留学生の体感が高くなるのは、CPI の中身と、外国人が実際に払う費目がずれているからです。CPI の大きな比重を占めるのは食料品などで、ここは落ち着いています。一方、都市の家賃・交通・外食・サービスは、成長する都市の需要に引っ張られて上がります。留学生が払うのは、後者の割合が高い組み合わせです。

誤解の原因(2) SNS の「安くて汚いインド」

2 つ目の原因は、SNS と動画です。インドの映像として拡散するのは、たいてい混沌とした市場、路上の屋台、ゴミ、詰め込まれた列車— つまり「安くて、汚くて、古いインド」です。撮る側にとっても見る側にとっても、そのほうが面白いからで、静かで清潔で高いインドは、コンテンツにならないので流れてきません。

はっきり書いておくと、そのインドは実在します。インドは格差の大きい国で、映像に映っている光景は作り物ではありません。私たちはそれを否定しません。

ただし、同じ国に、まったく別のインドがあります。バンガロールの IT パークとその隣のショッピングモール、GAFA で働く人が暮らすレジデンス、年間の学費が 100 万円を超えるインターナショナルスクール。数字でも確認できます。

そして「汚いインド」の側も、止まっているわけではありません。2000 年には人口の 73%(約 7 億 7,600 万人)が屋外で排泄していましたが、2022 年には 11% まで下がりました。都市部に限れば 0.5% です。政府の衛生事業で建設されたトイレは 1 億基を超えています。

つまり「安くて汚いインド」と「日本より高いインド」は、どちらも同じ国に同時に存在します。そして留学生が実際に暮らすのは、映像に映るほうではなく、値段が高いほうのインドです。片方だけを見て予算を立てると、必ずずれます。

ここまでが、誤解の原因です。では実際の価格はどうなっているのか。ここからは数字で見ていきます。

価格表を1枚で見る — 倍率がバラバラな理由

バンガロールと東京の項目別価格(Numbeo、2026 年 8 月時点)を、東京がバンガロールの何倍かという順に並べ替えました。

項目バンガロール東京東京 ÷ バンガロール
オートリキシャ・タクシー(1km)51 円510 円10.0 倍
1LDK の家賃(市中心部)約 5.2 万円約 20.2 万円3.9 倍
平均手取り月収約 13.6 万円約 40.3 万円3.0 倍
牛乳(1L)100 円250 円2.6 倍
安い店の食事(1 人)510 円1,220 円2.4 倍
中級レストラン(2 人)約 3,300 円約 7,100 円2.1 倍
鶏むね肉(1kg)610 円1,220 円2.0 倍
カフェのカプチーノ380 円580 円1.5 倍
輸入ビール(0.33L)600 円810 円1.4 倍
マクドナルドのセット770 円810 円1.1 倍

出典: Numbeo(2026 年 8 月時点)。円換算は 1 ルピー = 1.7 円。灰色の行は基準となる平均手取り月収、金色の行は現地では割高になる項目。

表の中に平均手取り月収の行(3.0 倍)を入れているのは、これが基準線になるからです。バンガロールの平均手取りは月 13.6 万円、東京は 40.3 万円。給料の差が 3 倍なので、「3 倍より安いもの」が現地の感覚での安い買い物、「3 倍に届かないもの」が現地では割高な買い物になります。

3 倍より上 — 人の手が値段になっているもの

オートリキシャは 10 倍、家賃は 3.9 倍。ここが「インドは安い」の実体です。共通しているのは価格のほとんどが人件費と土地でできていること。運転手の賃金も土地の値段も、その国の所得水準に連動するので、所得が 13 分の 1 の国では安くなります(1 人あたり GDP は日本 36,390 ドルに対しインド 2,813 ドル、IMF・2026 年)。理髪、クリーニング、家事代行、パーソナルトレーニングのような「人の時間を買うサービス」が驚くほど安いのも、同じ理由です。

3 倍に届かない — 世界共通の規格で作られているもの

一方、マクドナルドのセットは東京とわずか 1.1 倍しか違いません。カフェのカプチーノで 1.5 倍、輸入ビールで 1.4 倍。バンガロールで働く人の給料が東京の 3 分の 1 であることを思い出すと、これらは現地の感覚では相当な贅沢品です。

理由はシンプルで、品質の規格が世界共通のものは、原材料・設備・ブランド管理のコストも世界共通に近づくからです。同じ味のハンバーガーを出すには、同じ品質の肉と同じ機械と同じ研修が要ります。そこにインドの安い人件費が効く余地は、あまり残っていません。

この記事でいちばん大事な一行

インドで安いのは「インドの規格のもの」だけです。日本と同じ規格・同じ品質のものを選んだ瞬間、価格は日本に近づきます。そして輸入が絡むと、日本を追い越します。次の章で、その具体例を並べます。

日本と同じ品質を選ぶと、日本より高くなる

ここでひとつ、質問です。住まい・スターバックスのラテ・iPhone・輸入ワイン。このうち、インドのほうが日本より高いものはどれでしょうか。

答えは全部です。バンガロールで「日本と同じ品質のもの」を買うといくらになるか、そして同じ金額を東京で出したら何が買えるのかを並べます。最後の行だけは、比較用のローカル価格です。

日本と同じ品質のものバンガロールでの価格同じ金額を東京で出すと
日本人が安心して住める住まい(サービスアパート・高級物件)月 40 万円〜東京都心の 3LDK(約 38.5 万円)が借りられる
スターバックスのカフェラテ(トール)350 ルピー前後(約 595 円)同じラテが 455 円。140 円のおつりが出る
iPhone(最新モデル)日本より 2〜3 割高い水準同じ端末が 2〜3 割安く買える
輸入ワイン・洋酒基本関税 150%(州の酒税はさらに別)同じ銘柄が数分の一で買える
日本食レストランのランチ500 ルピー前後(約 850 円)同じ値段で、同じ定食が食べられる
ローカル食堂のミールス(参考)70〜80 ルピー(約 120〜135 円)この値段で食べられるものは、ほぼない

住まい — 差がいちばん大きく、いちばん誤解されている

日本企業の駐在員が暮らすようなサービスアパートメントや高級物件は月 40 万円から。この価格帯になって、ようやく日本に近いクオリティになります。ここを「インドなのに高い」と感じる方が多いのですが、順番が逆です。セキュリティ、清潔さ、断水・停電への備え、日本人が当たり前だと思っている条件を全部満たそうとすると、インドではこの値段になる— というのが実際のところです。

比較すると、こうなります。東京都心の 1LDK が約 20.2 万円、3LDK が約 38.5 万円(Numbeo)。バンガロールで日本並みの住環境を選ぶと、東京都心の 1LDK のおよそ 2 倍、3LDK とほぼ同額を払うことになります。「インドは家賃が安い」という前提でこの数字を見ると、たいていの方が固まります。

この比較のフェアな部分と、フェアでない部分

正直に書いておくと、この 2 つは完全に同じ条件ではありません。バンガロール側は家具・家電・清掃・警備込みのサービスアパートで、東京側は空室の賃貸です。設備の分だけインドが高く出るのは当然、という指摘は成り立ちます。

それでも私たちがこの並べ方をするのは、日本人が「安心して住める」と感じる状態を手に入れるための実際の支払額を比べたいからです。東京では標準装備として無料でついてくる安全・清潔・インフラの安定が、インドでは有料オプションになります。その差額が、この 2 倍の正体です。

しかもバンガロールの家賃は上がり続けています。IT 人材の流入で人口が毎年数十万人規模で増える一方、人気エリアの供給は増えず、Koramangala や Indiranagar の 2 ベッドルームは月 4.5 万〜5.5 万ルピー(約 7.6 万〜9.4 万円)。主要エリアの家賃はこの 2 年で 15〜25% 上昇しました。加えてバンガロール特有の慣習として、敷金を家賃の 10 か月分求める大家がいます(デリーやムンバイは 2〜3 か月分)。州は 2025 年の法改正で 2 か月分を上限としましたが、慣習として根強く残っています。

食事 — 日本食にした瞬間、日本と同じ値段になる

バンガロールには日本食レストランが複数あり、ランチの定食は 500 ルピー前後(約 850 円)。日本の定食屋とほぼ同じ値段です。ローカル食堂のミールスが 70〜80 ルピー(約 120〜135 円)であることを思うと、日本食を選んだ瞬間に価格が 6〜7 倍になる計算になります。醤油・味噌・納豆といった食材も現地で手に入るようになりましたが、関税と輸送が乗るため日本の店頭価格より割高です(食事事情はこちら)。

買い物 — 電化製品と酒は、はっきり日本より高い

インドは世界でも iPhone が高い国の 1 つで、日本より 2〜3 割高い水準が実勢です。完成品の輸入に関税がかかるため、電化製品全般の価格が押し上げられています。輸入の酒はさらに極端で、基本関税が 150%。州の酒税が別に乗るため、日本で 3,000 円のワインが数倍になることも珍しくありません。「日本から持っていったほうが安いもの」がはっきり存在する国だとお考えください(持ち物リストはこちら)。

住まい・食事・買い物。3 つに共通しているのは、日本人が「普通」だと思っている水準が、インドでは高級品だということです。安全な住まい、清潔な店の食事、日本と同じ製品 — どれも現地では上澄みの選択肢であり、上澄みの値段がつきます。日本にいると、この「普通」がいくらなのかを考える機会がないため、インドに来て初めて、自分の「普通」が高価だったことに気づくことになります。

安く暮らすこともできる。ただし限度がある

ここまで「高い」側の話が続いたので、反対側も書きます。コストを抑えて暮らすことは、確かにできます。バンガロールの単身者の生活費(家賃を除く)は Numbeo の推定で月 34,557 ルピー、約 5.9 万円。通信費は月数百円で大容量のデータが使えますし、医療費も日本より安く済みます。

ただし、日本人が「現地の人とまったく同じ価格」で暮らすことはできません。これは節約の努力が足りないからではなく、生活の前提が違うからです。具体的には次の 5 か所で、単価が現地水準から離れていきます。

  1. 住まい — 最安値帯の PG(下宿型の共同住居)は月 4,000〜5,500 ルピーで見つかりますが、相部屋で、受付も警備員もいない物件が普通にあります。日本人が数週間から数か月を過ごす場所として、ここは選べません(なぜソーシャルレジデンスか)。
  2. — 水道水が飲めないため、ミネラルウォーターを買い続けることになります。1 本 20〜30 ルピーで負担は大きくありませんが、現地の人が払わないコストです。
  3. 食事 — 最安のローカル食堂だけで通すのは、胃腸が慣れるまで現実的ではありません。清潔な店を選ぶ分だけ、単価は上がります(衛生・健康ガイド)。
  4. 移動 — 安全のために路線バスやシェアオートではなく Uber・Ola を使います。1 回あたりの単価は数倍になりますが、ここは削る場所ではありません。
  5. 情報の非対称 — 相場を知らない期間は、外国人価格を払ってしまいます。これは時間が解決しますが、短期滞在では解決しきる前に帰国します。

つまり、日本人の生活費には「これ以上は下げられない床」があり、その床は現地の平均よりだいぶ上にあります。そこを無理に下げにいくプランが、格安留学のリスクで書いた問題につながります。安さの差額は、たいてい住まいと安全から出ています。

安く快適に暮らす人は、何を持っているのか

とはいえ、その「床」の高さは人によって違います。バンガロールに長く住んでいる日本人の中には、実際に安く、しかも快適に暮らしている人がいます。我慢しているわけでも、危ない選択をしているわけでもありません。違いは、お金の使い方ではなく「相場を知っているか」と「頼れる相手がいるか」の 2 つです。

インドには「定価」がない場面が多い

日本にいると意識しませんが、日本はほぼすべてに定価がついている国です。値札の金額を払えば、誰が買っても同じ値段になる。これは世界的にはむしろ珍しいことです。

インドは違います。オートリキシャの運賃、市場の野菜、家の修理、引っ越し、家具の配達 — 同じものに、相手と場面によって違う値段がつきます。だから知らない人は高く払い、知っている人は安く払う。その差は数 % ではなく、ときに数倍です。「同じ街に住んでいるのに、日本人によって生活費がまるで違う」という現象の正体は、ほとんどここにあります。

「ぼったくり」の多くは、悪意ではなく情報の差

外国人が高く請求されることを、私たちはつい「ぼったくり」と呼びます。ただ実態の多くは、悪意というより情報の非対称です。相場を知らない人がその金額で納得するなら、その金額が成立する — 商売としては、それだけのことです。

ということは、対策も情報で解けます。移動を配車アプリに寄せる、支払いをできるだけキャッシュレスにする、買い物をネット注文に寄せる。アプリの中には「定価」があるので、相場を知らなくても損をしません。インドのキャッシュレス化が留学生にとってありがたいのは、実はこの点です(スマホ・通信・お金ガイド)。

それでもアプリで解けない部分は残ります。小額紙幣を多めに持っておく、リキシャは走り出す前に金額を決める、同じ店で買い続けて顔を覚えてもらう — こうした地味な工夫の積み重ねが、生活費を確実に下げます(具体的な作法は衛生・健康ガイドにまとめています)。

そして最後に効くのは、人です

アプリでも工夫でも解けない場面は、必ず来ます。住まいのトラブル、急な体調不良、学校や大家とのやり取り、予定の変更。ここで効くのは値段交渉の技術ではなく、「誰を知っているか」です。

インドは、紹介と顔なじみが強く効く社会です。同じ店で買う、同じ運転手に頼む、同じ業者を使う。関係ができると、値段が落ち着き、対応が早くなり、多少の無理も聞いてもらえるようになります。逆に言えば、一見の客でいるかぎり、いつまでも一見の客の値段と、一見の客の扱いを受け続けます。これは値切りが上手いかどうかの話ではなく、信頼を積んだかどうかの話です。

問題は、それが数週間では手に入らないこと

ここが留学生にとっての壁です。相場感も、頼れる相手も、時間をかけてしか作れません。何度か失敗して、払いすぎて、それでようやく身につくものです。

2 週間や 1 か月の留学で、これをゼロから積み上げるのは現実的ではありません。そして、積み上がる前に帰国します。「インドは安いと聞いて来たのに、思ったより高かった」という感想の多くは、その人の能力や努力の問題ではなく、単に時間が足りなかったというだけの話です。

私たちが現地に居続けている理由

インド留学プラスがバンガロールに日本人スタッフを常駐させ、同じ学校・同じ住まい・同じ業者と何年も付き合ってきたのは、この積み上げのためです。私たちが現地の条件で動けるのは、交渉が上手いからではなく、長く付き合ってきた相手だからです。

留学生の皆さんは、その上に乗るところから始められます。ゼロから相場を覚える数か月を飛ばして、初日から「知っている人の値段」で暮らし始められる— 私たちが提供しているものの実体は、手続きの代行よりも、むしろこちらだと考えています。

住み慣れた人はどうなるか — 現地就職という先の話

ここまで「短期滞在では相場も信頼も積み上がらない」と書いてきました。では、積み上がった人はどうなるのか。いちばん分かりやすい例が、インドで現地就職した日本人です。

数年住むと、相場が体に入ります。どこで何を買えばいいか、誰に頼めばいいか、いくらが適正か。その状態になると、生活費は一気に「安い側」へ寄ります。この記事の前半で見た「日本より高いインド」は、日本と同じものを買い直そうとするから高いのであって、現地のやり方に馴染んだ人はそのコストを払わずに済むからです。

手取りの 4〜5 割を貯蓄している例があります

実額で見ます。人材会社が公開しているインド勤務の日本人の実例では、次のような内訳になっています(デリー・グルガオンの例)。

どちらも手取りのおよそ半分を貯蓄に回している計算です。日本で同じ手取り額から半分を貯めるのは、家賃を考えるとかなり厳しい。しかも日本の物価は上がっているので、この差はいま広がる方向にあります。「インドは安い」は、住み始めた瞬間ではなく、住み慣れたあとに本当になる— これがいちばん正確な言い方だと思います。

そして、仕事そのものが英語で回ります

もう一つ、お金以外の話も書いておきます。インドでの仕事は、社内の共通語も取引先とのやり取りも基本的に英語です。つまり日常業務がそのまま英語の実践になり、職務経歴書には「英語で成果を出した経験」が残ります。

「英語ができます」と「英語で仕事をしてきました」の差は、転職のときに小さくありません。バンガロールは多国籍企業のグローバル拠点(GCC)が集積する都市なので、外資系へのキャリアにもつながりやすい環境です。生活費を抑えながら、貯蓄と英語のキャリアを同時に積める — これがインドで働くことの実利です(インド就職ガイド社会人のインド留学)。

ただし、誰でも就職できるわけではありません

正直に書くと、インドの就労ビザには年収 1,625,000 ルピー(約 276 万円)以上という要件があります。この水準を出してもらえる仕事に就く必要があるということで、現地採用なら誰でも通る話ではありません。

裏を返せば、就労ビザが出る時点で、現地の平均手取り(月 13.6 万円)をかなり上回る給与水準になるということでもあります。前半で見た「日本より高いインド」を選べるだけの収入を持ちながら、生活は「安い側」で回せる — 貯蓄が貯まるのは、この 2 つが同時に成立するからです。

留学生にとっては、結局いくらなのか

ここまでの話を、留学生の財布に落とし込みます。留学生の生活費の平均は 1 日 600〜1,200 ルピー(約 1,000〜2,000 円)。定期的な外食と 1 日 1 回のカフェを含んだ金額で、インド料理中心に抑えれば 500 ルピー以内も可能です。学費・宿泊費・ビザ費用・教材費は留学費用に含まれるため、現地での自己負担は主に食費と交通費になります(費用まとめ)。

この金額に収まるのは、偶然ではありません。ここまで見てきたとおり、インドには「危険なほど安い選択肢」と「日本と同じかそれ以上に高い選択肢」しかなく、その中間が市場にほとんどないという構造があります。月 4,000 ルピーの PG か、月 40 万円のサービスアパートか。留学生が必要としているのは、そのどちらでもありません。

私たちがやっているのは、その中間を作ることです

インド留学プラスが留学生の滞在先にしているソーシャルレジデンスは、この中間を埋めるための選択肢です。数十名から数百名が同じ建物で暮らし、共有部分を分け合うことで、一人あたりの負担を抑えたまま、設備とセキュリティの水準を保っています。部屋に専用のトイレとシャワー、24 時間の受付と警備、女性専用の部屋、家具・家電・清掃・Wi-Fi 込み。朝食と夕食も付くため、食費の自己負担そのものが小さくなります(滞在環境の詳細レジデンスの暮らし)。

空港出迎え、現地 SIM の貸し出し、通学交通費の支給オプション。一つひとつは細かく見えますが、これらはすべて前の章で書いた「相場を知らない期間」に払ってしまうはずだった出費を、先回りして消すための仕組みです。留学生が自分で数か月かけて身につけるはずだったものを、最初から使える状態でお渡ししている、と考えていただくのが近いと思います。

ご相談のときにお伝えしていること

「インドは安いから」という理由だけで留学先を決めるのは、おすすめしません。この記事で見てきたとおり、安さの部分は年々削られていますし、日本と同じ品質を求めれば安くありません。それでもインドを選ぶ価値があるとしたら、それは価格ではなく英語環境と、そこで得られるもののほうです。予算の話は、そのうえで詰めるのが順番だと考えています。

時期・期間・住居タイプによって金額は変わります。ご自身の条件での正確な金額は、お問い合わせまたは LINE から無料見積りでご確認ください。留学プランの一覧はこちら

物価のよくある質問

01結局、インドの物価は日本より安いのですか?

日本と同じ品質を選ぶなら、日本より高いです。バンガロールで日本人が安心して住める住まいは月 40 万円からで、東京都心の 1LDK(約 20.2 万円)の約 2 倍。スターバックスのラテは 595 円で日本の 455 円より高く、iPhone は 2〜3 割高、輸入酒には 150% の基本関税がかかります。一方、ローカルの店で食べ、ローカルの交通を使うなら日本の数分の一で暮らせるのも事実です。「インドは安い」も「インドは高い」も、同じ街で同時に成立します。

02なぜ現地の人と同じ価格で暮らせないのですか?

生活の前提が違うからです。水道水が飲めないためミネラルウォーターを買い続ける、胃腸が慣れるまでローカル食堂だけで通すのが難しい、路線バスやシェアオートではなく配車アプリを使う、公立ではなく私立の病院にかかる — この一つひとつで単価が数倍になります。相場を知らないうちは外国人価格を払ってしまうこともあります。数週間から数か月の滞在では、これらを現地水準まで下げきることはできません。

03現地の相場は、どうやって知ればいいですか?

最初のうちは「相場が要らない買い方」に寄せるのが確実です。移動は Uber・Ola、買い物は Amazon.in やデリバリーアプリ、支払いはキャッシュレス。アプリの中には定価があるので、相場を知らなくても損をしません。そのうえで、リキシャは乗る前に金額を決める、小額紙幣を多めに持つ、同じ店で買い続けて顔を覚えてもらう、といった工夫が効いてきます。判断に迷うものは現地の日本人スタッフに聞いてください。自分で相場を覚えるまでの数か月を短縮できます。

04インドの物価は上がっているのですか?

消費者物価指数(CPI)全体は 2025 年に落ち着いており、平均で 2% 台、10 月には 0.3% 前後まで下がりました。ただし留学生が実際に払う費目は別です。バンガロールの家賃は 2 年で 15〜25%、地下鉄の運賃は 2025 年 2 月に最大 71%、市バスは 1 月に 15% 上がりました。「物価指数は落ち着いているのに、都市で暮らす体感は高くなっている」というのが正確な状況です。

05円安の影響はどれくらいありますか?

あります。1 ルピーは 2026 年 8 月時点で約 1.7 円で、5 年前と比べてルピーは円に対して上昇しています。同じ 100 ルピーの買い物でも、円で見た負担は以前より重くなっています。現地の価格が変わらなくても、日本から見た物価は為替で動くとお考えください。

06予算はどれくらい見ておけばいいですか?

留学生の生活費の平均は 1 日 600〜1,200 ルピー(約 1,000〜2,000 円)ほどです。定期的な外食と 1 日 1 回のカフェを含んだ金額で、インド料理中心に抑えれば 500 ルピー以内も可能です。ソーシャルレジデンスは朝食と夕食が付くため、自己負担はさらに軽くなります。学費・宿泊費・ビザ費用・教材費は留学費用に含まれています。

07インドで働くと、生活費は安くなりますか?

住み慣れるほど安くなります。相場が分かり、頼れる相手ができると、日本と同じものを買い直すコストを払わずに済むからです。人材会社が公開しているインド勤務の日本人の実例では、手取り月 113,000 ルピー(約 19.2 万円)のうち 55,000 ルピー(約 9.4 万円)、手取り月 156,000 ルピー(約 26.5 万円)のうち 68,000 ルピー(約 11.6 万円)を貯蓄しており、どちらも手取りの半分近くを貯めています。仕事は英語で回るため、貯蓄と英語のキャリアを同時に積めるのも利点です。ただしインドの就労ビザには年収 1,625,000 ルピー(約 276 万円)以上という要件があり、誰でも就職できるわけではありません。

08「インドは汚い」というイメージは本当ですか?

20 年前の話としては、かなりの部分が本当でした。2000 年には人口の 73%(約 7 億 7,600 万人)が屋外で排泄していましたが、2022 年には 11% まで下がり、都市部では 0.5% です。政府の衛生事業で 1 億基を超えるトイレが建設されました。もちろんインドは広く、いまも厳しい地域はあります。ただ、バンガロールの IT エリアやモール、ソーシャルレジデンスの暮らしは、SNS で流れてくる映像とはまったく別の世界です。

留学のお問い合わせはこちらから↓

「まずは話を聞いてみるだけ」も歓迎です。

LINEで相談する